
トランス脂肪酸とは脂肪酸の一種で、脂肪酸は脂肪を構成するものです。加工油脂やそれらを使用した加工食品に含まれています。
脂肪酸は下の図のように大別すると不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分かれます。
マーガリンやショートニングなどは、常温で液体である不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変換して固体にするために水素を添加して加工します。このとき副産物としてトランス脂肪酸が生まれるのです。
トランス脂肪酸は牛などの反芻動物の肉や乳にも含まれています。脂質のうち2〜5%を占めます。

天然の不飽和脂肪酸はシス型というくの字形に折れた二重結合の分子構造をしています。ところが、トランス型はまっすぐな二重結合の分子構造なのです。化学式は同じですが、立体的な構造が異なります。
立体構造が異なるということは重要で、代謝できない可能性があるということです。身体が異物と判断して排泄してくれればいいのですが、なまじ似た構造だと消化吸収されて、代謝されないまま体内に留まり、いろいろな悪さをする恐れがあります。
これがトランス脂肪酸を"狂った油"とか"プラスチックオイル"などと呼び、トランス脂肪酸は自然界には存在しない合成された油なので摂ってはいけないとヒステリックに叫ぶ方たちの一番の主張です。
しかし、トランス脂肪酸もちゃんと代謝されてエネルギーを供給する、という報告があります。【欧州食品安全機関(EFSA)栄養製品・栄養・アレルギーに関する科学パネル(NDA
Panel)の意見書(2004年7月採択)】
また、同じ意見書はトランス脂肪酸摂取とがんや1型糖尿病、アレルギーの関係について、疫学的な根拠は不十分だとも述べています。つまり、トランス脂肪酸が代謝異常をきたして免疫系に悪影響を与えているというリスクは証明されていません。
今後、トランス脂肪酸による免疫系への作用が証明される可能性はありますが、現時点での証明されているトランス脂肪酸のリスクは、コレステロールの問題と動脈硬化など虚血性心疾患のリスクだけです。
トランス脂肪酸は自然界に存在しない人工的な油だ、狂ったオイルだから摂取してはいけない、という主張に、説得力はありませんね。